J・D・ヴァンスは、ベストセラー作家であり、政治家としても活躍するアメリカ人です。この記事では、彼の生い立ちや出来事、そして一躍大注目をあびた著書『ヒルビリー・エレジー』、政治活動、そして映画化された彼の物語について紹介します。
J・D・ヴァンスとは?
J・D・ヴァンス(J.D. Vance)は、アメリカの著名な作家、弁護士、政治家です。彼の名が広く知られるようになったのは、2016年に出版された自伝的ノンフィクション作品『ヒルビリー・エレジー』がベストセラーとなったことがきっかけです。
この本は、アメリカの労働者階級の苦しい状況と、中西部の社会経済的な問題を鋭く描写しており、ヴァンス自身の生い立ちや家庭環境を通して、現代アメリカの社会問題を浮き彫りにし話題となりました。
家族背景
1984年8月2日、ヴァンスはオハイオ州ミドルタウンで生まれました。彼の本名はジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス(James David Vance)ですが、普段はJ・D・ヴァンスと名乗っています。
彼の家族はアパラチア地方からの移住者であり、祖父母はケンタッキー州の貧しい地域からオハイオ州に移り住みました。彼の祖父母は、アパラチア地方出身の労働者階級としての強いアイデンティティを持っており、ヴァンスの幼少期はその影響を強く受けました。
幼少期と家庭環境
ヴァンスの家庭環境は決して安定したものではありませんでした。彼の母親は薬物依存症に苦しみ、家庭内暴力や離婚などの問題が絶えませんでした。
彼の幼少期は、度重なる引っ越しや家庭内のいざこざばかりでした。そんな中、彼の祖母はヴァンスにとって大きな心の支えとなり、彼の教育や人格形成に大きな影響を与えました。
海兵隊への入隊と大学への進学
ありえない家庭環境を乗り越えたヴァンスは、ミドルタウンの高校を卒業した後、アメリカ海兵隊に入隊しました。海兵隊では下士官としてイラク戦争に従軍し、その経験が後の人生において大きな影響を与えました。
その後、海兵隊を名誉除隊(honorably discharged)し、オハイオ州立大学に進学しました。オハイオ州立大学では、政治学と哲学を専攻し、優秀な成績で卒業しました。
イェール大学ロースクールへ
オハイオ州立大学卒業後、ヴァンスはイェール大学のロースクールに進学しました。イェール大学では、著名な法学教授エイミー・チャーリーに師事し、彼女の助言を受けながら、法学の知識を深めていきました。イェール大学での経験は、彼のキャリアにおいて非常に重要な転機となり、彼は法曹界での成功を目指すようになりました。
**アメリカ海兵隊の下士官で除隊後にイェールのロースクールへ行けるなんて、ヴァンスさんは相当あたまの良い人なのでしょう。
著書『ヒルビリー・エレジー』
2016年にヴァンスは著書『ヒルビリー・エレジー』を出版しました。この本はヴァンスの名を一躍有名にしました。
彼の家族史と、彼自身の体験を通してアメリカの中西部の労働者階級の現実を描いたものであり、社会経済的な問題を深く掘り下げています。ヴァンスは、アパラチア地方の伝統的な価値観と、現代アメリカの急激な社会変化との間で葛藤する家庭環境を描き出し、多くの読者の共感を呼びました。
The Economist誌では、2016年に出版されたアメリカに関する本の中で最も重要な一冊として注目しています。
政治キャリアの始まり
ヴァンスは、著書の成功を受けて、政治の世界にも足を踏み入れることになりました。2021年、彼はオハイオ州の共和党からアメリカ合衆国上院議員選挙に出馬することを表明しました。
彼の政治活動は、労働者階級の支援や中西部地域の経済復興を主な柱としており、伝統的な保守的価値観を強調しています。また、彼は家族の重要性や、地域社会の再生を強く訴えています。
メディアでの影響力と発言
J・D・ヴァンスは、書籍や政治活動を通じてメディアでの影響力を持っています。彼はニュース番組やトークショーに度々出演し、社会問題や政治についての見解を述べています。また、SNSでも積極的に発信を行っており、多くのフォロワーとコミュニケーションを取っています。
J・D・ヴァンスのツイッターアカウント
https://twitter.com/JDVance1
映画『ヒルビリー・エレジー』
J・D・ヴァンスのベストセラー『ヒルビリー・エレジー』は、2020年に映画化されました。監督はロン・ハワードで、エイミー・アダムスやグレン・クローズといった著名な俳優が出演しています。この映画は、ヴァンスの幼少期から成長過程を描き、家族の絆や困難を乗り越える力をテーマにしています。
映画『ヒルビリー・エレジー』はNetflixで視聴可能です。以下のリンクからNetflixの申し込みページにアクセスし、視聴を開始できます。
最高と最低の両極端な評価に分かれた映画
この映画は、J・D・ヴァンスによるベストセラー回顧録『ヒルビリー・エレジー~ アメリカの繁栄から取り残された白人たち』を原作とした実話ベースの作品。ヴァンスの個人的な経験を基に、彼の家族史や、オハイオ州とケンタッキー州の「ヒルビリー」と呼ばれる地域社会の困難を浮き彫りにしています。2020年11月よりNetflixでの配信が開始されたました
監督は、映画『天使と悪魔』や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』のロン・ハワード。有名な監督さんがメガホンを取っています。
アメリカの辛口批評サイトRotten Tomatoes(ロッテントマトス)では、批評家と一般の観客との評価が大きく分かれ、なんと批評家スコア25%、観客スコア85%という大荒れな結果に。
グレン・クローズはアカデミー賞には7回ノミネートされ、これまでにエミー賞、トニー賞をそれぞれ3回ずつ受賞している大女優。そんな人が最低賞にノミネートされた映画って、すごく気になりますよね・・・。
映画「ヒルビリー・エレジー」あらすじ
主人公のJ・Dは、オハイオ州の労働者階級の家庭に生まれ育ちます。彼の家族はアパラチア地方から移住してきた労働者で、貧困や薬物依存などの問題を抱えていました。
映画は、J・Dがイェール大学のロースクールに通う現在と、彼の子供時代の回想が交互に描かれます。子供時代のJ・Dは、母親のベヴ(エイミー・アダムス)が薬物依存症に苦しみ、家庭内暴力や不安定な環境で育ちます。しかし、祖母のマモー(グレン・クローズ)が厳しくも愛情深く彼を支え、彼に希望を与えます。
母親の問題と家族の混乱の中で、J・Dは必死に自分の道を見つけようとします。高校卒業後、海兵隊に入隊し、イラク戦争に従軍します。その後、オハイオ州立大学に進学し、優秀な成績で卒業。さらに、イェール大学のロースクールに進学します。
映画は、J・Dが母親の危機に対処するために故郷に戻るシーンがクライマックスです。過去の困難な記憶と向き合いながらも、彼は家族の絆を再確認し、自分のルーツと向き合います。
DVDの発売中。もしかして値が上がってる?
まとめ
J・D・ヴァンスの人生は、困難な環境から抜け出し、自己実現を果たした一例として、多くの人々に希望とインスピレーションを与え続けています。彼の著書『ヒルビリー・エレジー』や、政治活動は、アメリカの労働者階級の現状を理解する上で重要な資料となっており、彼のストーリーは今後も多くの人々に影響を与えるでしょう。